仮想通貨の税金が変わる!? 今さら聞けない「仮想通貨って何?」と今後の注目ポイント

仮想通貨

えっ、仮想通貨の税金が最大55%から20%に下がるかもしれないって本当!?

これは、無登録の仲介業者が多く、それゆえトラブルも絶えないことから、現在の「資金決済法」から株と同じ「金融商品取引法(金商法)」へ位置づけを見直し、それに伴い、税制も雑所得から申告分離課税へ変更される可能性がでてきたというニュースです

早ければ来年に変わるかもしれませんので、3つ解説していきたいと思います

そもそも仮想通貨って何?

「仮想通貨」は一言でいうと「インターネット上でやり取りされるデジタルなお金」です

日本で使える「円」やアメリカの「ドル」との違いは、中央で管理する組織(円だと日銀、)ではなく、「ブロックチェーン」という技術を使ってみんなが同じ情報を持ち合うことで価値を担保する全く別の仕組みです

国境をまたぐ取引やデジタル資産の決済のしやすさ、改竄が難しい安全性から広く使われ、ビットコインはビックカメラでも使えるようになっています

とはいえ、この新しい資金決済方法に税制が追いついておらず、仮想通貨の売買で利益がでた場合は「雑所得」となり最大55%の税金がかかり、海外の国よりも多くかかってしまうことが問題があるのです

このニュースのもつ意味って何なの?

金融庁の狙いは、大きく2つと思います

(1)利用者保護の強化

資金決済法ではカバーしきれなかった無登録の取引仲介業者によるトラブルや詐欺行為を厳しく取り締まり、情報開示の義務化し、広告・勧誘規制を強化することで利用者保護を強化しようとしています

(2)仮想通貨市場の健全な発展

市場に信頼性を増すことでの発展、国際的なマネーロンダリング対策やテロ資金供与対策(FATF勧告など)といった国際基準との整合性を高め、国際社会における日本のプレゼンスを維持・向上させる狙いもあります

利用者からすると、安全性が確保され、税金もよくなり良いこと尽くめのような気もしますが、メリット、デメリットはあります

【メリット】

①投資環境の安全性・透明性が向上

厳格な規制と監視により、詐欺的なプロジェクトや不正な取引業者が排除されやすくなり、安心して取引できる環境が整います

②税制優遇の可能性(最も注目される点)
・申告分離課税の適用

現在の「雑所得(最大55%の累進課税)」から、株式やFXなどと同じ「申告分離課税(一律20.315%:所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)」に変わる可能性があります。

これにより、高額な利益が出た場合の税負担が大幅に軽減されることが期待されます

・損失の繰り越し控除の可能性

申告分離課税になれば、株やFXのように、年間の損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の利益から控除できる制度が導入される可能性があります

これにより、投資家はリスクを取りやすくなり、より長期的な視点で投資を検討できるようになります

【デメリット】

① 取引の複雑化・規制強化による負担

・金商法適用により、口座開設時の本人確認(KYC)や適合性原則(投資経験や資産状況に応じた商品提供)がより厳格になる可能性があります

・ 確定申告に必要な取引報告書の内容がより詳細になり、記帳や管理の負担が増える可能性があります。(現時点でも複雑ですが、さらに厳格化される可能性)

・規制強化に伴い、一部の仮想通貨の取り扱いが停止されたり、レバレッジ取引などの提供サービスが制限されたりする可能性もあります

② 新しい技術やサービスの抑制リスク

・ 厳しすぎる規制や解釈の曖昧さが、DeFiやNFTなど、新しい技術を活用したサービスの開発や普及を一時的に遅らせる可能性があります

・ 新規参入を考える事業者にとって、金商法の下でのライセンス取得やコンプライアンス体制構築のハードルが高くなり、競争が抑制される可能性もあります

③短期的な市場の混乱の可能性

・実際に施行される際に、市場が一時的に混乱する可能性があります
 規制強化を嫌う事業者が海外に拠点を移したり、一部の投資家が撤退したりする動きも考えられます

とはいえ、多くの人にはメリットの方が大きいと思います

今後、何をウォッチすればいいのか?

それでは、今後、我々は何をウォッチしていけばよいでしょうか
大きく3つだと思います

① 法改正の具体的な内容と進捗:

 2026年通常国会提出を目指していることなので、その具体的な法案の内容と進捗度合いとして金融審議会の議論、パブリックコメントの内容に注目だと思います

 ② 税制改正の行方:

税率変更として、一律20%になるか、段階的かなど、具体的な税率変更の時期と内容、そして、株などで可能な損失の繰り越し控除が盛り込まれるかどうか、改正内容の行方はおさえたいです

 ③ 業界の反応と新たなサービス:

規制強化で淘汰される業者や、逆に安心して取引できる業者が増えてきたり、新しい金融商品やサービスが登場する可能性もあると思います

【まとめ】仮想通貨は市場の大きな転換点

税制や技術で難しい言葉がならび、仮想通貨に馴染みのない方も多いと思います

トランプ政権がトランプコインを出したり、ビットコインETFに大量に資金が流入したりと、仮想通貨を取り巻く環境が大きく変わり、仮想通貨市場の大きな転換点にあると感じています

税制改正は大きなチャンスだと思いますし、同時に規制強化や市場の変化も伴うため、冷静に情報収集と判断をしていくことの重要と思います

これからも、金融とITの視点から、仮想通貨の動向を分かりやすく解説していきたいと思います